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2005年9月26日(月)をもってtakadawataru.comのBBSは閉鎖しました。現在は過去ログの閲覧のみとなっております。

高田渡さんとは違いますが、 投稿者:ゆうすけ 投稿日:2005/05/29(Sun) 01:28 No.1940 
あれていますが、おねがいがあります。高田渡さんとは違いますが、岡林さんのアルバム「1973pm 9:00 1974 am3:00」を復刻CD化しようという呼びかけがあります。
投票が100%になったら予約受付開始だそうです。現在27%です。下記アドレスで投票(申し込み)できます。
http://www.sonymusicshop.jp/ordermf/tanomu/00index.html


Re: 高田渡さんとは違いますが、 復刻 - 2005/05/29(Sun) 07:14 No.1946 

こういうことができるところに、ネットの力を感じます。
呼びかけありがとうございます。情報の提供も感謝いたします。
ぜひとも投票したいと思います。


Re: 高田渡さんとは違いますが、 田舎のN.T. - 2005/06/12(Sun) 18:52 No.2235 

そのコンサートに行っていたような気がするのですが、、、
泉谷さんとやっていたコンサートですよね。早速投票します。


Re: 高田渡さんとは違いますが、 たにぐち - 2005/06/24(Fri) 07:55 No.2363 

投票して来ましたよ〜! 出ると良いな・・・・。


Re: 高田渡さんとは違いますが、 中郡之風 - 2005/06/25(Sat) 21:09 No.2378 

私も投票しておかばやっしさん関連の掲示板に紹介しました。そのときは16%でしたけど、今は39%になっています。でも先は遠いですね。


今朝 テレビにて 投稿者:月の音 投稿日:2005/06/23(Thu) 08:29 No.2352 
明日発売のDVDのこと。画面で「おれは死なないよ〜〜」と。


Re: 今朝 テレビにて ほるもんパドゥ - 2005/06/23(Thu) 19:55 No.2353 

私も見ました。注目のDVDで紹介されてましたので、少し驚きました


Re: 今朝 テレビにて イワシ - 2005/06/23(Thu) 21:27 No.2354 

セブンイレブンで一足お先にtrにいれてきました。
本編よりも2枚目のディスクの方が110分ととってもお得。
スズナリでの残りの曲目全部とか渡さんの本音が出ているような気がします。ブックレットも20ページドッキとするような
コメントをしている人がいたり、とにかく手に入れないと
大変な損をすることになります。なにせ、国が認めない
人間国宝ですから。


Re: 今朝 テレビにて イワシ - 2005/06/23(Thu) 21:29 No.2356 

セブンイレブンで一足お先に手にいれてきました。
本編よりも2枚目のディスクの方が110分ととってもお得。
スズナリでの残りの曲目全部とか渡さんの本音が出ているような気がします。ブックレットも20ページドッキとするような
コメントをしている人がいたり、とにかく手に入れないと
大変な損をすることになります。なにせ、国が認めない
人間国宝ですから。


Re: 今朝 テレビにて syo - 2005/06/23(Thu) 23:45 No.2358 

予約していたDVD今日の夕方届きました。
本編も特典もイッキに見てとても幸せな気分に
浸っております。やはり特典に見ものが多く、
チラッとですが渡さんがオートハープを弾く
シーンなどもあります。


無題 投稿者:ナンシー 投稿日:2005/06/22(Wed) 21:44 No.2348 
今日タカダワタル的みてきました。70年大学入学同時に東京で一人暮らし。いつもそばにわたるさんたちがいたってかんじ。九段会館でのコンサート目黒会館とか 五つの赤い風船 加川さんそのた思い出せないほどたくさんの人々のメッセージを受け止め続けていたのに今ここにいる私って・・・


「詩のコーナー」 投稿者:tomo 投稿日:2005/06/09(Thu) 21:54 No.2208 
shigさんへ。tomoです。
第一回目の「雨の日」(No.1664),第二回目の「shigさんの高田渡原詩講座」(No.1953) に続いて、第三回目「詩のコーナー」を立ち上げました。
タイトルは、前回内容が重くなりすぎたので、なごやかに、穏やかに、話が進みますように、との願いを込めて平凡でわかりやすいものにしました。
以前お話した草野心平や金子光晴のリクエストということで、よろしくお願いします。今回こそは、ぼちぼちやりましょう(笑)。 


Re: 「詩のコーナー」 hiko - 2005/06/11(Sat) 23:27 No.2225 

よいしょっ!
shigさんが見落とさないように上げときます。


Re: 「詩のコーナー」 shige - 2005/06/11(Sat) 23:52 No.2226 

tomoさん、hikoさん、ありがとうございます。仕切直しとのこと、了解しました。
でもね、こんなのやってていいのかななどと、常々思っているんですが、あくまでも、「知りたいという人がいて、知ってることなら教えてあげようかな」という程度ですので、よろしくお願いします。
ところで、私の手元には、若い頃に汚い字で渡さんの歌を書きとったノートがありますが、こうした作業をすることによってデータとして残せることに気がついて「こりゃ、いいや」とも思った次第です。渡さんの歌の原詩は、手元にある詩集の文字遣いの通りに入力するようにします。ただ、渡さんの歌詞は、歌詞カードがあるものはそのまま、歌詞カードがないものは、私がレコードから聞き取ったものですから、文字遣いは私なりのものとなります。また、ルビが必要なものは、[   ] でルビを表示するようにします。
    *
さて、ちょっとフェイントして、「正午」でいきたくなりました。
「正午」は、渡さんのアルバム『石』に収録されています。道化調といいますか、お囃子調といいましょうか、面白い歌でした。しかし、詩の作者として記されてある「野見山杉太郎」という人物はまったく知りません(現在発売されているCDではどう表示されているのか存じませんが)。それから数年経って、中原中也の詩集のなかでこの詩を偶然見つけました。一瞬、狐につままれたような気分でした。中原中也について調べてみても、「野見山杉太郎」というペンネームを使っていたという記述を見ることはありません。いったいどこから出てきた名前なのか、いまもって謎なんです。
月給取りを揶揄した詩ではありますが、彼自身、詩では食べられないという現実に追い込まれ、当時暮らしていた鎌倉から故郷へ引き上げようとしていた頃に書かれた詩です。中原中也の年譜によれば、1936年11月、2歳の息子を失い、翌年10月5日に結核性脳腫瘍を発病し、入院。22日、30歳で没。この詩を発表したのは、まさに亡くなった、その10月なのでした。

「正午」             中原中也=詩
   丸ビル風景

あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ
ぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
月給取の午休み、ぷらりぷらりと手を振つて
あとからあとから出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
大きなビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口
空はひろびろ薄曇り、薄曇り、埃りも少々立つてゐる
ひよんな眼付で見上げても、眼を落としても……
なんのおのれが桜かな、桜かな桜かな
あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ
ぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
大きなビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口
空吹く風にサイレンは、響き響きて消えてゆくかな


「正午」            高田渡=歌詞

ああ 十二時のサイレンだ サイレンだサイレンだ
ぞろりぞろりと出てくるわ
月給取りの昼休み プラリプラリと手を振って
あとから あとから出てくるわ
大きなビルの真っ黒い ちいちゃなちいちゃな出入り口
空はもともと薄曇り 埃も少々立っている
そんな目つきで 見上げても見下げても
何のおのれが桜かな
空吹く風にサイレンは 響きて響きて消えゆくかな


中原中也 tomo - 2005/06/12(Sun) 01:13 No.2229 

shigさんへ。ありがとうございます。そう、きましたか(笑)
この「正午」という作品は中原中也の詩集で先に知ってまして、渡さんの曲を聞いたときにまず中原中也の詩に渡さんが曲をつけている事に驚きました。(似合わないですよね。風貌も全然違うし(笑))それと同時に「中原中也の詩にこの曲はないだろう」と思った覚えがあります。でもよく詩を読んでみると、この詩についてはこれでいいのかもしれない‥そんな気もしてきます。中原中也の詩に曲をつけたものとしては、私は友川かずきの「サーカス」の方が好きですね。「ゆやーん ゆよーん」って。ちなみに、私が持っているCD「石」では、すべての曲について歌詞はおろか作詞者,作曲者さえ明記されていません。

そこでまた話が少しずれるんですけど(笑)、このアルバムのなかの「いつになったら」の「目が覚めたら今日もまた俺だ」っていう出だしが大好きなんですよ。何度聞いてもおかしくて笑っちゃうんですけど、(この曲を聴いて笑ってしまうのは私だけでしょうか?)作詞者,作曲者がわからないんですよ。レコードでは明記されていたのでしょうか?教えていただければ助かります。

PS:若い頃、中原中也は好きで愛読していました。そうですか。中也は30歳でしたか。中也より遥かに歳を重ねて生き続けている自分に愕然とします。でも、凡人で良かった(笑)。


tomoさんへ isamu - 2005/06/13(Mon) 16:09 No.2259 

横から失礼します。高田氏逝去ののちより、ちょくちょくROMさせてもらってました。
「いつになったら」の作者ですが、私の持ってるLPのラベルには
作詞:金子光晴 作曲:高田渡となっています。
この原詩のコーナーはとても興味深く拝見しています。
思わず、古本屋のサイトで高木護の詩集を注文しちゃいました。


はじめまして tomo - 2005/06/13(Mon) 21:00 No.2262 

isamuさん。はじめまして。それから、ありがとうございます。
そうですか。作詞は金子光晴ですか。「いつになったら」は「出だし」の他に、もう一箇所気になるところがあって、それは「ああ、いつになったら鬱陶しい色恋沙汰が無くなるのだろう。」という一節なんですよ。金子光晴ってあんまり詳しくないのでよくわからないんですけど、イメージ的にはピッタリですよね。色恋沙汰。(なんか、色恋沙汰って、味わい深い言葉ですよねえ(笑))

《‥そういう訳で、次の原詩のりクエストは「いつになったら」にしたいんだけど、shigeさん最近フェイントなんてするようになったからなあ。まあいいか。ちゃんとお願いしよう。》←ひとりごと

shigeさんへ。今度こそ、金子光晴の原詩をよろしくお願いします。


Re: 「詩のコーナー」 shige - 2005/06/13(Mon) 21:39 No.2264 

しようがありません、金子光晴でいきましょうか。金子光晴の詩に曲をつけた渡さんの歌は「いつになったら」「69」、お仲間の佐久間順平さんの「猿股の唄」があります。金子光晴の原詩をどうしてもお望みですか。彼は最も好きな詩人なんですが、あまりにも仕事が膨大すぎて、読む範囲を、自伝3部作、紀行、『人間の悲劇』をはじめとする数冊の詩集にとどめています。そんなわけで、期待を裏切っちゃってすいませんが、「いつになったら」が収録されている詩集が手元になく、渡さんの歌詞のみでご勘弁を。そのうち図書館で探してきますよ。「69」「猿股の唄」の原詩はあります。

「いつになったら」         高田渡=歌詞

目が覚めたら 今日もまた俺だ
また同じ太陽
もうたくさんだ こんな面
くたびれた胃は こなれの悪い昨日のげっぷ
何もかも昨日の続き
人生はさっぱりするときがない
ああ いつになったら
鬱陶しい色恋沙汰がなくなるのだろう
さもなければ金の話

いつになったら 人の腹を読む 
そんな こすっからい目つきがなくなり
自分勝手の正義を振り回さずに済むのだろう
いつになったら 法律がなくなるのだろう
いつになったら  薄い味噌汁と古漬けのなすと
縁が切れるのだろう
ああ いつになったら
この俺でなくなるのだろう
いつでも好きなときにさ


金子光晴 tomo - 2005/06/13(Mon) 22:42 No.2270 

shigさんへ。
「いつになったら」って改めて歌詞を文字で見てみると、ボブ・ディランの「風に吹かれて」に似てませんか?でも、そんな立派な感じじゃなくて、情けない感じで(「古漬けのなす」なんて出てきたりして)味わい深いですよね。

ええと、ここは時間をかけて「金子光晴特集」をやりませんか?「69」は興味があるし(変な意味でなくて(笑))「猿股の唄」は「この貧乏は東洋風だ。」のフレーズが大好きなんですよ。あんまり一気にやっても、もったいないんで「こだし」にして。しかし、あいかわらずペースが速いですね。私のせいですけど(笑)我慢できないんですよ。すみません。 


小室等? isamu - 2005/06/13(Mon) 23:15 No.2271 

つっこむ訳じゃないですが、猿股の歌は高田渡&ヒルトップストリングスバンドというアルバムが有名ですが、それ以前に
佐久間順平さんと大江田信さんの林亭というグループが
1973年に出した自主製作盤「夜だから」にすでに収録されています。渡さんの前述のアルバムでも佐久間順平さんがボーカルで歌っています。小室さんが歌っていた記憶はないんですが・・・。ちなみに佐久間順平さんは最近、「最初の花」という初のソロアルバム(ライブ盤ですが)を出されましたが、
その中でも猿股の唄は歌っておられます。


蛇足ながら・・・ isamu - 2005/06/13(Mon) 23:27 No.2272 

金子光晴氏の詩集「人間の悲劇」に収録されている猿股の唄の詩は、タイトルが「詩のかたちで書かれた一つの物語」といい、安南国(ベトナム)の伝説を詩にしていると前書きで書かれています。しかし、金子光晴自身の貧乏のようすを書いているのではないかと想像する人も多いようです。


訂正しました。 tomo - 2005/06/14(Tue) 01:02 No.2273 

isamuさんへ。小室等は高田渡&ヒルトップ・ストリングス・バンドのアルバム「ヴァーボン・ストリート・ブルース」のプロデューサーであって「猿股の唄」を唄っている訳ではないですね。失礼しました。No.2270は訂正しました。


金子光晴-2 shig - 2005/06/15(Wed) 23:45 No.2281 

では、isamuさんのせっかくのお導きにしたがって「猿股の唄」(アルバム『ヴァーボン・ストリート・ブルース』収録)でいきましょか。これは渡さんではなく、佐久間順平さんの歌(作品)です。ご存じでしょうが、佐久間順平さんは、渡さんが数人のバックをつけて演奏する際に、オーケストラの第一バイオリンのような役割を受け持っていた方で、いつも、渡さんを音楽的にバックアップしていました。このような形になったのは、ヒルトップ・ストリングス・バンドの頃からでしょうか。学生時代から渡さんとは付き合いがあったそうですので、当然ながら、渡さんからの影響も大きく、この作品の作り方など、まさに渡さんの手法そのままです。同じく、アルバム『ヴァーボン・ストリート・ブルース』収録の「その向こうの」も順平さんの作品(歌)です。ついでながら、同アルバム収録の「シグナルは青に変わり〜」は、ヒルトップ・ストリングス・バンドのテナーバンジョー担当・小林清さんの作品(歌)、「リンゴの木の下でドミニクは〜」のリードヴォーカルも小林清さん(この作品は、小林さんの翻案と思われます)。当時、歯を食いしばってバンジョーをかき鳴らしていた小林清さんは、いまではジャンゴ・ラインハルトばりのギタリストをなさっておられるようです(HPもあります)。話は戻って、佐久間順平さんご愛用のギターは志茂ギターのAZAMIだそうで、まさに垂涎の逸品です(志茂ギターのHPを参照)。順平さんは、とにかくいろんなミュージシャンのレコーディングに参加していますが、担当楽器は、ギター、フィドル、フラットマンドリンでしょうか。

「詩のかたちで書かれた一つの物語」     金子光晴=原詩

  性のわるい疥癬のやうに、貧乏は一生ものだ。あがいても金運はめつたにめぐつて来はしないが、貧乏は資格も  条件もいらない。猿又一つしかない父子の話は、世界のうちでも特別貧しい安南国につたはる伝説。


父と子が二人で
一枚の猿又しかもつてゐないので
かはり番こにはいて外出する。
この貧乏は、東洋風だ。

父のすねには、捲毛があり
子のすねには、うぶ毛、
父には何十年すぎてこの貧乏。
子には何十年をひかへてこの貧乏。

貧乏に吸ひ取られて
ひよろめく人間。
貧乏とは、つまり骨と皮だけで
血と肉の乏しいことだ。

貧乏に泥んだふるい東洋では
人生とは、不自由のことなのだ。
苛斂[かれん]、誅求[ちゅうきゅう]にも甘んじて
いつでも荒地にかへる覚悟だ。

風に吹き散る富貴を蔑み
天から授かつた赤貧をたのしみ、
死んでゆくときのこすものといへば
猿又一つしかなにもないことだ。

父が死んだので、子は
前よりもゆたかになった。
二人で一つの猿又が
一人の所有になつたからだ。

だが、子供が水浴びしてゐるとき
蟹が猿又をひいていつたので
子は誰よりも貧乏な
無一物となりはてた。

そして子は、毎晩夢にみた。
失つた猿又のゆくへを。
誰かがそれをはいて
世間のどこかを横行するさまを。

子は知った。猿又なしでは
泥棒や乞食にもなれないと。
猿又なしでは、人前に
じぶんの死様もさらせないと。

子よ。貧乏なんか怕[おそ]れるな。
岸づたひにゆく女の子を
水から首だけ出して見送る子よ。
かまはず、丸裸で追駈けろ。それが、君の革命なのだよ!



「猿股の唄」       佐久間順平=歌詞

父と子が二人で
一枚の猿股しか持ってないので
かわりばんこにはいて外に出る
この貧乏は、東洋風だ

父のすねには、捲毛があり
子のすねには、うぶ毛
父には何十年すぎてこの貧乏
子には何十年をひかえてこの貧乏

父が死んだので
子は前よりも豊かになった
二人で一つの猿股が
一人のものになったからだ

だが、子供が水浴びしているとき
蟹が猿股を引いていったので
子は誰よりも貧乏な
無一物となり果てた

そして子は、毎晩夢にみる
失った猿股の行方を。
誰かがそれをはいて
世間のどこかを行くさまを

子は知った 猿股なしでは
泥棒や乞食にもなれないと
猿股なしでは、人前に
自分の死に様もさらせないと

子よ、貧乏なんか恐れるな
岸伝いにゆく女の子を
水から首だけ出して
首だけ出して見送る子よ

かまはず丸裸で追いかけろ
丸裸で追いかけろ
それが君の それが君の
革命なのだよ


殴られそうですね(笑) tomo - 2005/06/16(Thu) 12:38 No.2282 

shigさん。ありがとうございます。
金子光晴、佐久間順平については、「熱い思い」をお持ちの方がいらっしゃるようなので、うかつな事を言うと殴られそうですね(笑)。
この曲は題名が「猿股の唄」となっていることもあり、ほのぼのとした牧歌的な印象を持っていました。
しかし、原詩の「詩のかたちで書かれた一つの物語」を読んでみると、言葉の使い方に「強い意思」というか「想いの激しさ」のようなものを感じます。
今までの原詩は渡さんが、原詩をどんなふうに歌詞にしたのか?というところが気になったんですけど、この詩については、直接、原詩のほうに強く惹かれますね。「金子光晴をちゃんと読んでみようかな」って思いました。「いつでも荒地にかへる覚悟だ。」‥シビレマスネ。


金子光晴-3 shig - 2005/06/18(Sat) 21:42 No.2310 

アルバム『系図』収録の「69」です。この「69」は渡さんが歌に仕上げる際につけたタイトルであって、金子光晴の詩のタイトルは「愛情21」で、詩集『愛情69』所収です。『愛情69』には「愛情1」から「愛情69」まで、69篇の詩が収録されていますが、すべて男女のさまざまな事柄についての詩ということになります。ちょっと艶っぽいものも艶っぽくないものもありますが、とにかく洒脱のひとことでしょうか。数年前に、『南方詩集』と合わせて『女たちへのエレジー』(講談社文芸文庫)として出版されていますから入手も容易です。
しかし、ここに出てくる「賓頭廬尊者」なんて、いまの若い人は知ってるのだろうか。一般には、おびんずる様って呼ばれてますけど。
さて、渡さんは、この詩をミシシッピー・ジョン・ハートの名曲、 My Creole belle に乗っけて歌っています。元々は軽快な曲なんですが、渡さんの場合は、詩の内容が内容だけに、そんなに軽快にも歌えないようです。原曲のMy Creole belle は、アーロー・ガスリーや、マッド・エイカーズ(ハッピー・トゥラム)のLPでも聴くことができます。

「愛情21」           金子光晴=原詩    

 あんまり撫で廻すので
わがこひびとは
賓頭廬[びんずる]尊者のやうな
ずんべらぼうになりはてた。

 そのあやまちは、君にもある。
このやうな僕から逃げるのを忘れ
なが逗留をしすぎたのだ。

 その場かぎりのよいことや、
あてにもならない約束を
本気にするのがいけなかった。

 いまになつては、目鼻もわからない。
僕の手垢で、黒光りして、
木切れ、石ころとかはりがない。

 さて、さうなつてはすべもなく、
僕のはうから、逃げずばなるまい。




「69」          高田渡=歌詞

あんまり撫で回すので
わが恋人は
ずんべらぼうになりはてた
そのあやまちちは そのあやまちは
僕だけじゃなく君にもある

そのあやまちは そのあやまちは
こんな僕から逃げ出すのを忘れて
こんな僕から逃げ出すのを忘れて
長居をしすぎたわが恋人よ

その場かぎりのよいことや
その場かぎりのよいことや
あてにもならない約束を
本気にするのがいけなかった

いまになっては いまになっては
目鼻もわからないわが恋人よ
僕の手垢で 僕の手垢で
黒光りして 黒光りして

さて そうなってはすべもなく
僕のほうから 逃げねばなるまいのだが


女性から殴られそうですね(笑) tomo - 2005/06/18(Sat) 23:36 No.2312 

shigさんへ。かさねがさね、ありがとうございます。
この「69」は説明したり解釈したりするのは野暮なので今回は短いめで‥。
この曲は原詩と歌詞の違いが微妙で面白いですね。「へえ。そうなんだ。」と思った点がいくつかありました。
1.タイトル
  このタイトルを渡さんが思いついた時、心の中で「ニヤリ」としたんじゃないかなあ?
2.繰り返し
  渡さん得意の同じ歌詞の繰り返しが多用されています。
  具体的な説明は除きますが「渡さんはここを繰り返すのか」と思って私は、心の中で「ニヤリ」としています。
3.原曲
  「原詩を探る」このコーナーとは別に「原曲を探る」コーナーが成立しそうなくらい、渡さん作曲とされているもの中にも、
  別の原曲が存在するものが多くありそうですね。
4.おまけ
  この詩は男にとっては「ニヤリ」としてしまうもののように思えますが、女性にとってはどうなんでしょう?
  場合によっては、女性から殴られそうですよね。それもグーで(笑)。


草野心平 shig - 2005/06/21(Tue) 21:53 No.2333 

アルバム『FISHIN' ON SUNDAY』に収録されている「秋の夜の会話」。渡さんの歌のなかで、草野心平の詩はこれ1編のみです。ちょっと物足りない気がしますが。この詩の成立について、著者・草野心平自身が語っています。場所は東京早稲田、鶴巻町。「低い屋並や人々が夜の田ん圃に黒くぬりつぶされ、そのなかから蛙の会話がきこえてきた。それがだんだん私の内部にはいり、私の中で話しあってるそのままを記憶して、そいつをどっかの喫茶店で写しとった」ということです。いまはごちゃごちゃしている早稲田鶴巻町も、当時はまだ田んぼがあって、蛙が鳴いていたんですね。

「秋の夜の会話」         草野心平=詩

さむいね
ああさむいね
虫がないてるね
ああ虫がないてるね
もうすぐ土の中だね
土の中はいやだね
痩せたね
君もずゐぶん痩せたね
どこがこんなに切ないんだらうね
腹だらうかね
腹とったら死ぬだらうね
死にたくはないね
さむいね
ああ虫がないてるね


「秋の夜の会話」         高田渡=歌詞

さむいね さむいね
ああさむいね
虫がないてるね
ああ虫がないてるね
もうすぐ地面の中だね

地面の中はいいやだね
痩せたね
おまえもずいぶん
おまえもずいぶん
ずいぶん痩せたね

どこがこんなに切ないんだろうね
腹だろうかね 腹だろかね
腹とれば死ぬだろうね

死にたかないね 死にたかないね
さむいね
ああさむいね
ああ虫がないてるね

どこがこんなに切ないんだろうね
腹だろうかね 腹だろかね
腹とれば死ぬだろうね
   
   *
さて、新しい詩のコーナーが立ち上がったようで、おめでとうございます。こちらは、まだ高木護や吉野弘の詩にもやってないのがあるし、黒田三郎、木山捷平もやらねば……。ecさんが「石」を書かれてましたけど、渡さんのファンなら山之口貘さんの詩集くらい持ってますね。貘さん関連の本は、渡さんのおかげか随分入手しやすくなっていますので、お知らせしときます。『山之口貘詩集』(思潮社現代詩文庫)/『山之口貘沖縄随筆集』(平凡社ライブラリー)、『山之口貘詩文集』(講談社文芸文庫)など、どれも1,400円以下で買えるものばかりです。『山之口貘詩集』は全詩集ですし、随筆も読みたければ『山之口貘沖縄随筆集』(沖縄関連の詩も5篇収録)がお勧めです。故郷沖縄への熱い想いが込められています。


shigeさんに殴られそうですね。 tomo - 2005/06/21(Tue) 22:31 No.2334 

あの、そんな「新しい詩のコーナー」なんて、立ち上げるつもりなんてさらさら無くて「猫にマタタビ」でつい‥。ほんの出来心なので許してください。そんな「おめでとうございます。」なんて言わないで‥(涙)。

ええと、草野心平の「秋の夜の会話」ですよね。簡単にコメントを‥(汗)。
これは、渡さん特有の「淡々と唄っているけど切ない」唄で、大好きです(ほんとうですよ。)
でも、あえていうなら原詩の方がっもっといいと思います。
原詩には曲が無いので、秋の虫の音が聞こえてくるんですよ。音が聞こえてくる詩って良いと思いませんか?
(私の好きな絵にミレーの「晩鐘」があります。絵なのに鐘の音が聞こえてくるんですよ。)


山之口貘 shig - 2005/06/21(Tue) 23:47 No.2338 

tomoさんへ。
今夜は、芋焼酎、泡盛、いろいろ呑んできて、ベロベロです。ところで、「猫にマタタビ」っていったい何ですか。まあ、いいや。でもね、山之口貘さんの詩集は読んでほしいんです。渡さんのファンなら。そして、貘さんの沖縄に関する随筆も、です。皆さんに。ところで、貘さんの娘さんの山口泉さんからの情報ですが、思潮社で、『山之口貘全集』(全4巻)の改訂版の編集を、いま進めているとのことです。今年中に刊行予定です。


何年ぶりだろう? tomo - 2005/06/22(Wed) 00:17 No.2340 

shigeさんへ
さっき、早速『山之口貘詩文集』(講談社文芸文庫)を注文しました。(詩集なんて買うの何年ぶりだろう。)


引越しの時期だと思うんですけど... tomo - 2005/06/22(Wed) 12:10 No.2343 

shigeさんへ
ええと、なんだかこのまま『山之口貘特集』に突入しそうな勢いですけど、山之口貘については長くなりそうですよね。このスレッドでは『山之口貘予告編』までにして、スレッドを換えてから『山之口貘特集』に突入したほうがいいと思います(血液型がO型なので、その辺は気になるんですよ。)
今回の「詩のコーナー」は私の浮気を除けばいい感じだったと思うので(笑)、新しいスレッドはそのまま「詩のコーナー2」としたいと思っています。
「詩のコーナー2」を立ち上げるまで、ちょっと待ってくださいね。


無題 投稿者:視界よし 投稿日:2005/06/21(Tue) 19:45 No.2331 
 養命酒のCMの歌詞覚えている方いませんか?養命酒のホームページから古いCMは見れませんでした。曲もなんかの借り歌でしたっけ?

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